「野菜をたっぷり食べているはずなのに、お通じがない…」
便秘に効果があるとされる食物繊維。
その食物繊維が含まれているはずの野菜を食べているのに、
便秘が解消されない…。
そんなお悩みを持った方がいらっしゃるのではないでしょうか。
その原因は、食物繊維のバランスにあるかもしれません。
今回は、便秘に効果的な2種類の食物繊維の役割について、ご説明いたします。
食物繊維の正しい摂取を心がけましょう
食物繊維とは、食品に含まれる成分のうち、
私たち人間の腸の中では消化することのできない成分のことです。
その食物繊維には2種類あり、
「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられます。
2つの食物繊維をバランスよく摂ることが、便秘解消の糸口となります。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維とは、水に溶けにくい繊維質のこと。
水分を含んで膨らむことで、便のかさを増やす材料となります。
不溶性食物繊維を多く含む食べ物を摂取することで腸が刺激され、
排泄につながる腸の「ぜん動運動」を促すことができます。
不溶性食物繊維を含む食べ物の特徴として、
口当たりがボソボソしている、噛み応えがある、という点があります。
不溶性食物繊維が特に多い食べ物として、ごぼうや豆類、きのこ類が挙げられます。
便秘に効果のある不溶性食物繊維ですが、摂取する際には注意が必要です。
腸の活動が活発になりすぎることで排便が困難になっている、
「けいれん性便秘」の方は、不溶性食物繊維を大量に摂取すると
症状が悪化してしまう危険性があります。
また、便そのものの水分が奪われ、カチコチに硬まってしまうことで
便秘がさらに悪化してしまう、ということも考えられます。
食物繊維が便秘にいいからと言って、
食べ過ぎ・偏ったバランスでの摂取は控えましょう。
自分の身体に合った量、バランスで摂取することが大切です。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維とは、水に溶ける性質を持った繊維質のことです。
日本人の多くは、この水溶性食物繊維が不足していると言われています。
体内に取り込まれると、水分を含んでドロドロのゲル状になり、
便をやわらかく、腸の中を移動しやすい状態にしてくれます。
水溶性食物繊維を含む食べ物の特徴は、ネバネバ・サラサラしていることです。
中でもモロヘイヤやオクラ、納豆、海藻類が挙げられます。
しかし、硬くなった便に悩んでいるからと言って、
水溶性食物繊維ばかりを大量に摂取するのが正しいわけではありません。
摂りすぎると一転、下痢を引き起こしてしまう可能性があります。
特に高齢者の方は、下痢によって脱水症状を引き起こす恐れがあるので、
摂取する量には注意が必要です。
バランスの良い食事を心がけることが大切
排便のタイミングを知らせるサインとしての「便意」がなければ、
トイレに行きそびれてしまいますよね。
その便意を促すためには、一定の量の便が必要です。
不溶性食物繊維を含む食品を摂取することで便の量を増やし、
水溶性食物繊維を体内に取り込むことで便がスムーズに移動できるよう
バランスの良い食物繊維の摂取を心がけることで、
すっきりとしたお通じを迎えられます。
2つの食物繊維を摂取する理想のバランスは
不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1、と言われています。
いつものサラダに、わかめやめかぶといった海藻類を加えたり、
白いご飯に納豆をかけて食べるなど、
簡単に取り入れられるものから、食物繊維のバランスを意識してみてください。