過敏性腸症候群もしくはIBS という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本ではCM が放映されるなどして注目された時期があり、「現代病」として一般的な病気になった印象があります。
過敏性腸症候群の原因やその症状について解説していきます。
過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群とは、便秘や下痢を長い間くり返す病気のことです。
下痢が起こるタイプ、便秘が起こるタイプ、両方を交互に繰り返すタイプ、ガスが出るタイプなど様々な症状の方がいらっしゃいます。20代~30代の若い世代の方がなりやすいようです。
この病気が「ストレスが原因の現代病」として日本で注目されるようになったのは1990 年代からでした。
過敏性腸症候群自体は昔からある病気でした。
しかし、命にかかわるほどの影響がある病気ではないですし、症状は「お腹の調子がとても悪い」という一般的にも起こり得るものですから、本人が病気と認識していないケースも多かったのです。
ストレス社会の中で患者数が増えたことや、生活の質を低下させるという認識が広まったことで、1995 年には日本独自の診断基準が設けられました。そして、一般でも徐々に知られるようになったのです。
現在では、ストレスだけではなく腸内細菌も大きな原因であるという説が有力です。
過敏性腸症候群の方のうち、約40%は腸内細菌に原因があることが分かっています。
便秘や下痢はどうして起こる?
過敏性腸症候群で起こる便秘をけいれん性便秘といいます。
このタイプの便秘は、ストレスが大きな原因の一つだと言われています。
人はストレスを感じると、からだの機能を制御している自律神経のバランスを崩します。体が緊張状態の時に機能する交感神経が過剰に働き、消化器系を制御する副交感神経が働かなくなってしまうのです。
そのため大腸の動きが正常でなくなり、便秘になります。
また、下痢は毒素を外に出すための体の防御反応です。大腸に毒素や何らかの異常があると、大腸は便から水分を吸収するのをやめ、早く排出しようとします。
そのため、吸収が不十分な水分の多い便が排出されます。
過敏性腸症候群の場合、腸に原因となる異常はありません。便秘と同じく、自律神経の乱れによって下痢が起こります。
ストレスと腸や便の関係って?

私たちが「ストレス」と呼ぶものですが、実は体の方はこれを「命の危機」と捉えています。
命の危機を感じると、体は無意識に自分を守るための行動をとります。「緊張を解いていたら死んでしまう」と感じているため、交感神経が優位になるのです。
お話ししたとおり、下痢は毒素を排出しようとする防御反応です。過敏性腸症候群による下痢も、実はストレスを感じた体が自分を守ろうとして起こるのかもしれません。
過敏性腸症候群の症状の例ですが、ストレスの有無で状態が大きく異なります。
例えば、「リラックスしている休日は便秘になる。平日は出勤前に突然下痢になる」といった症状もありがちです。
大腸は、自律神経を通して精神状態の影響を受けやすいということです。
まとめ

便秘の解消法に効果的な方法として便秘薬の服用がありますが、便秘薬の種類や便秘の症状によっては、便秘を悪化させてしまう可能性もあります。
過敏性腸症候群に限らず、何らかの疾患で医者にかかっている方は、必ずかかりつけの医師に相談をしましょう。