人は必ず一年に一回歳を取りますが、
加齢とは、生まれてから死ぬまでの時間経過を指します。
この加齢が、便秘の原因になっている場合もあります。
今回は、加齢と便秘の関係性について解説いたします。
加齢によって何が起こる?
子供のうちは、年を取っていくだけですが、20代、30代になってくると、徐々に体が老化していきます。
では具体的に、加齢によって体はどのように変化をしていくのでしょうか。
筋力が低下
加齢によって筋肉が衰え、筋力が低下していくことは、皆さんご存知ですね。
年齢を重ねるにつれて、筋肉を作っている「筋繊維」の数が減少していきます。
また、筋繊維そのものも、加齢によってどんどん縮んでいってしまうのです。
筋肉の重さというのは、成人で体重の40%を占めると言われています。
それが40歳を境に、1年に0.5%ずつ減っていき、65歳を過ぎるとますます減少率が増えていってしまいます。
そして最終的に、80歳になるまでに30~40%の筋肉が減少してしまうのです。
筋肉が減少すれば、当然筋力も衰えます。
また、高齢者の場合は、体力の低下や病気をきっかけに、動くこと自体が億劫になってしまい、
あまり体を動かさなくなってしまうことがあります。
そのため、ますます筋力が衰えていってしまうのです。
内臓の機能が低下
年を重ねていくと、見た目の老化には気づきやすいですが、
内臓の機能の低下にはなかなか気づけないかもしれません。
実は加齢によって、体の内部にある内臓の機能も低下していきます。
具体的に例を挙げてみましょう。
一番実感しやすいのは、心臓の機能かもしれません。
心臓の血管が徐々に硬くなっていき、血液を送り出す力や引き込む力が弱くなっていきます。
このため、以前は平気だった階段の上り下りなどで息切れしやすくなります。
胃腸の機能の低下も感じやすいかもしれません。
消化・吸収機能の低下により、排泄機能も衰えていきます。
そのため、便秘や下痢をしやすくなったり、
胃もたれや胸やけを感じやすくなったりします。
その他にも、腎臓、肝臓、膵臓など、あらゆる内臓の機能が低下していき、病気にもかかりやすくなってしまいます。
加齢と便秘の関係
実は、高齢者の半数以上が便秘に悩まされていると言われています。
それだけ、加齢と便秘には深い関係があるということです。
加齢によって便秘になる原因は一つではありません。
まず挙げられるのが、排便に必要な筋力が低下していることです。
排便の際にはお腹に力を入れていきむ必要がありますが、
そもそも高齢者の方は、いきむ力が弱く、便を押し出せなくなっているのです。
腸そのものの機能が低下していることも、原因の一つに挙げられます。
腸の機能が衰えることにより、排便に必要なぜん動運動も弱くなってしまいます。
また、加齢によるライフスタイルの変化も便秘の原因になります。
年を重ねるにつれ、食事の量が減り、その結果便のかさも減少してしまいます。
また、トイレに行くのが億劫だから…と言って、
水分の摂取を控える高齢者の方がいらっしゃいますが、
水分を十分に摂らないことにより便が硬くなり、便秘になりやすくなってしまいます。
加齢による筋力や内臓機能の低下は避けられないものです。
ですから、加齢による便秘はある意味では必然と言えるかもしれません。
それだけ、高齢者の方は便秘になりやすいのです。
加齢が原因の便秘の解消法 加齢による便秘の原因の一つとして、筋力の低下を挙げましたが、
もちろん高齢者の方でも筋力をつけることはできます。
腰などを痛める恐れがあるので、無理のない範囲で、お腹に効く運動を取り入れて頂くことをおすすめいたします。
また、噛むのが億劫になり、柔らかいものばかり食べてしまう方もいらっしゃるようですが、
便秘の解消には、食物繊維が豊富な、繊維質のものを摂ることも大切です。
野菜などを積極的に食事に取り入れて頂きたいと思います。
高齢者の方だと、それでもなかなか便秘が解消しない場合も考えられます。
そのような時には、我慢せずに便秘薬に頼る事も考えてみてはと思います。
自力で何とかしようとしているうちに、
便秘はどんどんひどくなっていってしまい、苦しい思いをしてしまうこともあります。
まずは、溜まっている便をすっきりと出すことが、必要なのではないでしょうか。