常にお腹が張って気分が優れない、肌の調子が悪い…。
便秘や、便秘からくる体の不調に悩まされている方は、非常に多いのではないでしょうか。
実は、現在、日本人の65〜75%もの方々がその割合を占めています。
では、なぜこんなにも多くの人が便秘になるのでしょうか?
日本人の生活習慣と照らし合わせながら、ひとつずつ解説していきたいと思います。
便秘は「不自然な状態」です。
「便利」が生んだ「便秘」
まず、便秘全体の原因についてご説明します。
便秘は、元々自然になるものかというと、そうではありません。
便秘の最も大きな原因として、運動不足が挙げられますが、そもそも「運動不足」自体が人間の体にとっては「不自然な状態」といえます。
動物を例えに出してみましょう。
動物は、毎日移動をするために自分の手足を使い、厳しい自然の世界で生きていくために捕食し、捕食される側は、捕食されまいと動き回っています。
そして、わたしたち現代人は、通勤に電車を使ったり、座って仕事をしたり、好きな時に好きなものを食べられる生活を送っていますよね。
そう、日々体を動かすことが当たり前の動物たちとは違い、人間の生活というのは「便利」なのです。
人間が便秘になりやすいのは「当然」?
ここで、少しからだのお話をしましょう。
動物に触れた時、「あたたかいな」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、人間の平均体温が35度台〜36度台なのに対し、動物の体温は、犬や猫で平均38〜39度。小動物や鳥類であれば、平均40〜42度です。
平均体温というのは、運動量と筋肉量によって変動します。
もともと野生動物だった犬や猫は、人間よりも運動量が多く、自然と体温も高くなる、という訳ですね。
つまり、
ただでさえ運動量の低い私たちは、便利な生活によって、更に運動量が下がってしまっている、ということなのです。
これが、私たち現代人が便秘になりやすい、もっとも大きな原因といえるでしょう。
運動量と筋肉量の目安
便秘の原因の9割は生活習慣から。
現代人が便秘になりやすい、ということはお分かり頂けたかと思います。
では、次に、便秘になりやすい日本人の生活習慣を、仮に「便秘習慣」として、詳しくご説明しましょう。
便秘習慣①「運動」していても、「運動不足」かもしれません。
さて、では前述の動物の生活と現代人の生活において、最も大きな違いが「運動量」であることは、既に明白なことですよね。
その運動不足を解消しようとした場合、下記のような方法がよく挙げられます。
●ウォーキングやジョギング、サイクリング
●ジムでの有酸素運動やトレーニング
●大学や会社などの運動部に所属する
…ですが、これらは本当に有効な意味での運動かというと、そうではありません。
なぜかというと、動物にとっての「運動」というのは、全身の筋肉を使って全力で運動をしています。
ですが、人間の「運動」の場合、サイクリングのように使用する筋肉がある程度決まっていたり、余裕を持たせていたりと、限定的な運動になってしまいがちなのです。
つまり、現代人にとっては「運動」しているつもりでも、腸を動かす筋肉からすれば「全然足りていない」かもしれないということですね。
便秘習慣②食物繊維は、取り過ぎても便秘の悪化に繋がります。
食物繊維は、菜類や茎類などに多く含まれる「食物繊維」ですが、不足すると便秘になる、というのは有名ですよね。
ですが、食物繊維を摂りすぎると、大量の食物繊維が腸内の水分を過剰吸収し、便が硬くなることで、便秘に繋がったり、便秘を悪化させる可能性があります。
日々、少しずつ、バランスよく、適量を摂取していくことが大切です。
便秘習慣③下剤の使いすぎで便秘が悪化します。
用法・用途を無視した過剰摂取の場合、下剤の使いすぎで腸が疲れ切ってしまい、ほぼ自分の力で動くことができなくなってしまい、便秘を悪化させてしまいます。
一般的に下剤は、自然に動いていない腸を無理矢理刺激し、活動を活発にさせることで排便を促すものが多いです。
薬も食べ物も、口に入るものはどんなものでもそうですが、用法・用途・適切な量と組み合わせをしっかりと守った服用や食事が非常に重要です。
便秘習慣④コーヒーは「水分」には入りません。
1日の水分量が少ないと、体内の水分を節約しようと身体が働き、便も硬くなりがちです。また、誤解されやすいですが、コーヒーは利尿作用があるため、摂取してもほぼそのまま尿として排出されてしまいます。
本来、人の体の約60%は水分で構成されており、1日の平均水分摂取量は2ℓが理想的とされています。
水分補給として適切なのは、水・お茶・スポーツドリンクなどです。
1日に数を分けて、しっかり補給するのが良いでしょう。
便秘習慣⑤年齢を重ねると便秘になりやすい傾向があります。
年齢を重ねると、身体全体の働きが少しずつ衰えていきます。
様々な機能低下により、腸の働きも低下し、便秘につながります。
また、日常的に身体を動かさない生活習慣の方は、その分腸の姿勢も変動しないため便が体内に停滞しがちになります。
このようなことが積み重なると、排便がスムーズにいかなくなり、便秘となるケースがあります。
便秘は「体の黄色信号」
便秘の原因についてご説明しましたが、最もお伝えしたいことは、便秘とは「体の黄色信号」だということです。
生活習慣の何かの乱れにより、体が正常でないということを腸が教えてくれている訳ですね。